さよならの情景 ― 駅前市場で過ごした、カメラと私の午後 ―

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撮影会の記録と想い──駅前市場での最後のロケーション

取り壊しが決まっていた駅前市場で、この撮影会を実施しました。地域に長年愛されてきたこの場所には、そこに根付く空気と人々の記憶が詰まっていました。もう二度と撮ることのできない景色を、写真という形で残しておきたかったのです。

写真を撮ることは、知らない街へ足を運び、その場所の成り立ちや雰囲気に思いを巡らせるきっかけをくれます。

縁もゆかりもない場所であっても、「もしここが自分の故郷だったら」と空想し、その想像が新しい写真のアイディアを引き寄せる。そんな旅と撮影の連鎖がたまらなく好きです。

路地裏と陰影の風景──レンズが求める被写体

私は路地裏やトタン、錆びた物、そして光と影が入り混じる曖昧な明るさの風景が好きです。

それらは、どこか懐かしさを感じさせるだけでなく、レンズの性能を存分に発揮できる題材でもあります。そうした好みは完全に個人的な趣味ですが、同じような感覚を持つカメラマンも少なくないのではないでしょうか。

この日も、古い市場の壁や路地裏の風景が印象的でした。
時代を感じさせる建物や風景には、そこに暮らした人々の痕跡が溶け込んでいて、シャッターを切るたびに新しい物語が生まれる気がしました。

表現としての撮影──モデルとの対話

星野くるみを題材に撮り続けて10年以上になります。
これまで主に都内西部で撮影してきましたが、私のスタイルは「ロケ地を反復して撮り重ねる」ことにあります。

同じ場所でも、初回には見えてこなかった新しい解釈や表現が、回を重ねるごとに深まっていく。そのプロセスがとても好きなのです。

星野くるみは、再訪したロケ地でも変化を持ち込んでくれるモデルです。
その変化を受け止め、こちらもアレンジを加えた撮影を返す。このキャッチボールのようなやりとりが、写真を「記録」ではなく「表現」に引き上げると感じています。

消えゆく景色と新しい未来

この撮影会では、駅前市場の最後の日々を記録する一方で、そこに流れる時間の重みを感じました。
人々に愛された場所が消えるのは寂しいことですが、そこに新しい何かが生まれる希望もあります。

その狭間でシャッターを切る時間は、儚さと未来の期待が交錯する、不思議な感覚を伴うものでした。

今回のロケでは、特に印象深い写真がいくつも生まれました。

今年はそんな写真をもっと作っていきたい。ただの風景の記録ではなく、モデルと場所との対話を通じて形作られ、さらに欲を言えばその場で交わされた空気感や、一瞬の光の動きが刻まれており、見る人に何かを語りかけるような、、だいそれたことを考えてしまいます。

目標は高く、これからもみんなと一緒にそんな作品を目指していけたらと思います。

レモンフォトの撮影会
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