夜を撮るために、少しばかり積み上げてきたもの。

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僕が夜の撮影を始めたのは、たぶんライティングの理解を確かめたかったからだと思う。

ベースにあったのは白ホリ。
そこで覚えた光が、外へ出たときにどこまで通用するのか。

街灯、看板、ビルの窓、車のライト。無数の環境光。

僕はそれらを勝手に「野良ライティング」と呼んでは、それを相手にどこまで戦えるのかが面白かった。

まだストロボやLEDを気軽に持ち歩くような時代でもなかったし
僕が使っていた高感度番長とかつては呼ばれたカメラでも、この暗所中心の環境ではISO3200を越えたあたりから、もうだいぶ苦しかった。

今みたいな強力なノイズ処理もない。
頼れるのは撮影技術と、少しばかりの機材だけ。
だから躍起になった。

「ISO100縛り」なんて、今考えるとだいぶ意地の悪い企画までやった。

でも不思議なもので、参加してくれたカメラマンから「暗い」なんて泣き言を聞いた記憶がほとんどない。

むしろ笑っていた。

撮っている写真は、やたらクールで神妙なのに、
現場ではみんなゲラゲラ笑っている。

それが好きだったし、なんか絆みたいなものが生まれた気もする。

写真ではちゃんと競う。
人間としてはちゃんとリスペクトする。

僕が撮影会で欲しかったコミュニティの原型は、たぶんあの頃にはもうあったんだと思う。

レモンフォトになった今でもそれは同じで、夜間撮影については少しだけこだわりが残っている。
とはいえ昔を神格化する気は毛頭ない。

便利になったものは使うし、今のカメラは暗所でも強いし、ストロボもLEDも優秀で素敵。
根っこがクリエイターなので、楽できるところは、徹底的に楽をする。

ただ、そのぶん僕は
何を見せて、何を見せないか
のほうをより強く見せる水先案内人としての役割が強まったと自負している。


さて。

明日は久しぶりのジャンクション戦。

また少し余談になるけど、ジャンクションで人物を撮り始めたのにも、一応ちゃんと理由がある。

夜のロケーションは、気を抜くと空がただの黒になる。
だったら空に何か入れたい。

最初はビル群だった。
そこから高架道路へ行った。

もうひとつは広角レンズ。

当時のポートレートでは、今ほど広角を人物へ向ける人が多くなかった。
だから使いたかった。

人物だけではなく、その人が立っている場所まで大きく写真へ入れたかった。
そのための背景を探していったら、ジャンクションに辿り着いた。

だからジャンクションを撮るんじゃない。

ジャンクションで撮る。

ここは結構大事なところ。主題はポートレートだし、人物の威力不足を背景に頼ってはいけないと思っている。

高架を格好よく撮ることが目的ではない。
その巨大な構造物と光の中へ人物を置いたとき、何を感じるか。

その場で拾った線、光、圧迫感、距離、違和感。
それをモデル、今回はRin。彼女の動きや表情とぶつけながら、写真にしていく。

自分の企画は昔から、結局そこにライティングがある。


明日の箱崎JCTは、その意味ではかなり贅沢な場所です。

高架の線、テクスチャとしてコンクリートや錆びがある。
余白を彩る街灯がある。

まだ他にもあるけれど、あまり全部書きたくない。背景だけでも写真になってしまう場所が何ヶ所もある。

主催としては、かなり頼れるロケ地。

過去にはそのニオイを嗅ぎつけて訪れた撮影会さんやカメラマンさんもいた。
けど、自分のスウィートスポットはあまりお気に召さない感じだったように思う。
だけどブレないで今回も積み上げようと思うし、ちょっと久しぶりで楽しみだったりもする。

怖いのは、その場所が強いと、人物をそこへ置いただけでも「それっぽい写真」が撮れてしまうってこと。初見の人なら、もうそれで十分に思えるくらいに。

ただ、僕はそこでは終わりたくない。
撮影会としては定番の場所でもある。

だから周囲から「また、あれやってんだな」と思われてしまうことが怖い。
少しでもいいから変化なり、そういうものをつけたい。

自分自身、当時とは違った経験や物の見方を覚えたし、年齢も重ねたことで変化が生じるはず、という期待もある。

話がそれた。

ということ(??)で、第1部「STRAIGHT」は、夕方から夜へ移っていく環境光をなるべく殺さず、その中へストロボの光を混ぜる。

まず正攻法。

夜のロケーションで最初に何を見るのか。

背景のどこを使うのか。
人工光をどのくらい混ぜるのか。

普段は頭の中で勝手に済ませている判断も、明日はできるだけ表へ出してみたい。
それが現場にいる戦友への糧となるような気もする。

そして第2部「GRID」。

夜が深くなったら、今度は光を絞る。

グリッドを使って、必要なところだけに光を置く。

自分は写真を、一枚だけで全部説明しなくてもいいと思っている。

その日の写真を何枚か並べたとき
一枚は顔を語ればいいし
一枚は身体
一枚は場所
光だけを語る写真があってもいい。

だから一枚の中へ、人物も背景もディテールもきれいに詰め込もうとはしない。

第2部では、その考え方をかなり強く打ち出したい。引き算の魅力というやつなんだろうか。

第1部で作ったものを、
さらに削る。

少し崩す。

たぶん僕は、そっちのほうが好きなんだと思う。


僕が夜間撮影を続けながら拾ってきたメソッド。

それと、

「ここまでは要る」
「ここから先はいらない」

という、自分なりの審美のものさし。

明日はそこをあまり隠さずにやりたい。
シンガーソングライターたちのステージを見てきたことで、そういう赤裸々に日々を告白していくことの格好良さに触れた。憧れた。

だから、真似事をはじめたい。という安直なものだけど、いつかそれが格好良いと誰かが感じてくれるようになったらいいなと思うから、とにかく実践からはじめる。

とはいえ、自分のやり方が正解だとは全然思っていない。

むしろ自分のそれを見てもらい、どう判断しているのか手の内を全部見てもらったうえで
たたき台として、役に立つことができたら主催としての存在価値があるような気がするし、それぞれ別の写真になればいい。掲示板でもそれを待ちたい。

同じRinを撮る。

同じ箱崎JCTに立つ。

同じ夜を見る。

それでも写真は違う。

その違いが見たい。

これまで何度も撮影企画を受け止めてもらったジャンクションという場所で
明日またひとつ、背伸びした言い方をすれば軌跡を更新したい。

STRAIGHT / GRID ― 箱崎JCTを攻める。
2026.09.02 / Rin

A few things I’ve gathered over time to photograph the night

9月2日(水)「STRAIGHT / GRID ― 箱崎JCTを攻める。」出演:Rin
2026年9月2日、Rin出演。水天宮前・箱崎JCT界隈で、夕景から夜景へ変化する環境光とストロボを組み合わせるポートレ…