写真は無意識が決める?撮影プロセスを掘り下げて見えたこと

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写真撮影について、自分自身でもわかっていないことが意外と多い。

これまでの経験に基づいて瞬間的に判断しているのだろうが、その判断基準を明確に理解していないせいで、人にノウハウを伝える際、最も重要な部分が曖昧になってしまうことがある。

もちろん、撮影の判断は人それぞれで問題ない。
しかし、撮影会主催という立場上、「撮影手法」「上達方法」を問われることも少なくない。

そこで今回は、撮影プロセスをあえて分解して、より具体的な上達方法を模索してみることにしました。

撮影プロセスを仮定する

間違っている部分もあるかもしれないが、以下のようなプロセスを組み立てた。

撮影プロセス

この順番で記載したものの、実際には順序が入れ替わる場合もあると思う。
例えば、感情が先に動き、それが構図の選択に影響を与えることもあるだろう。

それぞれのステップについてもう少し詳しく掘り下げてみたい。

①視覚情報の入力と初期処理

被写体を見た瞬間、目から入った情報は脳内で「形」「色」「明るさ」といった要素に分解される。この段階では、脳がパズルのピースを分類するように視覚情報を整理している状態だ。

私の経験で恐縮だが、先日のライブ撮影での経験が、このプロセスを端的に表している。アーティストの表情を追っていた瞬間、目に涙が光った(ように見えた)。その時、脳内での情報処理を待つまでもなく、すでにシャッターを切っていた。

おそらく私たちのいわゆる「注意」は、次の2つの方向から働きかけるものと思う。
その2つの方向を見てみたい。

その1.自然に目を引くもの

  • 動きがある対象
  • 鮮やかな色彩
  • 独特の形やパターン

その2.意図的に選んだもの

  • 撮影したいテーマ
  • 興味のある対象

これらの要素が重なることで、「注意」「注目」となり、いわゆる視覚的な「焦点」が形成される。
この「焦点」を定めるが最初の決断でもある。

②感情と記憶の影響

定まった「焦点」について、次に展開するのが「感情」「記憶」ではないだろうか。

被写体が感情を揺さぶる瞬間、脳が活性化し、時間の流れがゆっくりと感じられることがある。
この状態では直感的な判断がしやすく、構図や画角が「自然」と決まることが多い。

また、過去に撮影して成功した構図やシーンが「記憶」から引き出され、現在の判断に影響を与える。
この無意識的な「記憶」の活用が、撮影者の「個性」を形成する一因となっているように思える。

余談ではあるが、先日行ったワークショップではこの「個性」を形成するために必要な「記憶」を可視化するためにアンケートを行い、無意識の底から引き上げる試みを実施した。参加いただいた方には、この気づきの面白さを共感してもらえたようで嬉しい。

③構図と画角の選択

ここでは、被写体と背景のバランスを考えながら、縦構図か横構図かを決定するプロセスが行われる。
この決定には個人の「美意識」「目的」(芸術性・商業性)が強く影響する。
美意識や目的の差が作風に強く影響すると思われる。

特にポートレート撮影では、被写体の「表情」「姿勢」が構図決定の重要な要素となる。

④実行とフィードバック

構図や画角を決定した後は、「撮影」を実行し、その結果をフィードバックとして確認する。
この段階で「調整」を加えることで、次回以降の撮影精度が向上する。

以上、若干冗長気味ではあったが、これが撮影のプロセスの代表的な事例ではないだろうか。当然これらはコンマ何秒といった時間軸で行われる事象のため、このように意識できるようなものではない。

この工程にこそ、写真を形成する大きな要因が隠れているといっても過言ではない。

技術的要素だけでは語れない

ワークショップでよく見かける技術的なセミナーは、主にこの「実行とフィードバック」の部分に焦点を当てている。だが、写真制作の全体像を見れば、①から③のプロセスも非常に重要だと感じる。

ポートレート撮影では、操作の熟練だけでなく、「美意識」「美学」の探求が大切だ。
ポートレートが他ジャンルと異なるのが、この点にあるといえる。それが、今回のプロセス分析で少し補強された気がする。

自分の無意識を理解するために

「自分のことが一番わからない」とよく言われるが、このプロセスを意識的に理解することで、次のような改善が見えてくる。ビギナーの方にはぜひ意識してみて欲しい。

  1. 自分の写真を振り返り、「どんな感情で選んだか」「どこに注意を向けたか」を意識する。
  2. 構図や画角の選択に一貫性があるか、不足している要素は何かを分析する。
  3. 他者と比較し、自分特有の癖を把握する。

その結果、無意識の中にある「判断」が少しずつ明確になり、より洗練されていく助けとなる。

瞬間的判断を強化するために

さらに自分の感覚を磨くために、以下のような練習も考えられる。

  1. 新しい視点を試す
    • 意識的に異なる構図や距離感で撮影する
  2. 感情喚起のトレーニング
    • 自分が強く反応する他ジャンルやテーマを探求する
  3. 経験と記憶のデータベースを持つ
    • 過去作品から成功例や失敗例を整理し、指針とする
    • レタッチ作業では副産物としてこのデータベースが補強されることが多い

今回、脳内プロセスを意識的に文章化した結果、写真を制作するにあたって重要だと思う箇所が可視化された気がする。

実際の撮影では、これらがほぼ無意識に処理されるとしても、その精度や相違がある以上、平時のインプットやトレーニングがとても大事になってくることは間違いないと思う。

カメラマンの個性を尊重する撮影会として

レモンフォトの撮影会は、少人数制だからこそ生まれる空気感が魅力だと考えています。
主催者は、皆さんにとって一番近い第三者として、あなたの撮影スタイルや写真にそっと寄り添いながら、時に客観的な視点で意見をお伝えします。

これにより、無意識に発揮されているあなたの技術や個性が浮かび上がり、作品に新たな輪郭が加わることを目指しています。

撮影会では仲間たちと楽しく語らいながら、自分自身を見つめ直す時間も大切にしています。
撮影を通じて、一人ひとりの個性がより豊かに輝くお手伝いができれば幸いです。

次回の撮影会で、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!